ビジョンえひめ

ビジョンえひめ策定作業委員会

愛媛が持つ魅力

愛媛は豊かな自然に囲まれている。穏やかな瀬戸内海に囲まれ、内地には豊かな山々を抱え、数多くの温泉や温暖な気候と相まって、非常に住み心地のよい環境が形成されている。そのため海の幸や山の幸にも恵まれ、豊富な食材と食文化も存在する。これらの自然の恵みは愛媛の強みの一つである。

古代より存在する道後温泉、中世を代表する城などの史跡、近代の坂の上の雲などといった長い歴史を感じさせる観光資源を保有しており、地域ブランドの潜在力は非常に高い。加えて近年ではスポーツにも力が入っており、地域社会とスポーツの結びつきも強くなっているなどユニークな特徴も持っている。そのうえ、地域発展の最も大きな基礎である産業構造においても、第1次産業、第2次産業、第3次産業のすべてがバランスよく存在しており、今後の発展の基礎的な潜在力を持つ地域であると言える。

人口において女性比率が高いことも特徴の一つである。観光資源の一つである道の駅での農作物販売や農業を通じた体験型宿泊施設の運営などにおいても女性の力は非常に大きく、今後の発展の際に重要となる子育てにおいても女性比率が高いことは強みとなってくる。

愛媛の県名は他地域に類を見ない由来を持っており、その歴史も深く特徴的であり、その名称より女性を大切にし、女性に愛される土地というイメージを想起させる。気候風土も温暖で過ごしやすく、子を産み育て生活するのに適した土地でもあり、イメージと結びつく地域性を持っている。さらに古くから船を通じて外地との人の交流も盛んであった。このことからも、グローバル化する現代社会において人が集まり持続的な発展が可能な地域としての可能性を秘めている。



そのような潜在的な魅力に加え、日本でも有数の安価な家賃(表1参照)、低い物価(東京を100とすると愛媛は90.1、全国は90.6である)、コンパクトな街(市街地の利用状況に占める商業・近隣商業地域面積比率11.1%、全国8.0%)などの住みよい環境があり、有業者の趣味・娯楽に費やす時間が全国で最も多いなど(表2参照)、豊かな生活スタイルの存在が伺える。

表1 賃貸住宅の安い都道府県上位5
  公営賃貸住宅
(円/1ヵ月3.3m2)
  民営賃貸住宅
(円/1ヵ月3.3m2)
1 岡山県 854 1 愛媛県 3,271
2 愛媛県 880 2 佐賀県 3,370
3 岐阜県 931 3 大分県 3,392
4 鳥取県 946 4 岩手県 3,594
5 山口県 968 5 岐阜県 3,693

出所:社会生活統計指標より作成。

表2 有業者の趣味・娯楽の平均時間
(男性) (女性)
1 愛媛県 0.51 1 愛媛県 0.43
2 兵庫県 0.50 2 東京都 0.39
3 福井県 0.49 3 京都府 0.36
4 三重県 0.48 4 神奈川県 0.34
5 徳島県 0.47 5 愛知県 0.34

出所:社会生活統計指標より作成。

このことから、愛媛は人が集まる地域としての条件は存在すると言える。国民民主党の推進する「コンクリートから人へ」という人に重点をおく政策を推進するに適した地である。

ビジョンえひめでは人に対して重点を置いた国民民主党の政策を地域において実現するために、基本的方針として「人が集まる地域」づくりを目指し、愛媛の現状に合わせた諸問題や具体的施策の検討を行っていく。



厳しい現状

しかし現状の愛媛県では、趨勢的に人口減少が生じているなど厳しい現実が存在することも事実である。図に示す通り愛媛県の人口は近年減少傾向にあり続けている。

また、昼間人口が常住人口を上回っており、これは愛媛県外に住んで愛媛県に通っている人が多いことを示す。このことは愛媛の弱点とのみ言えるわけではないが、少なくとも県内の人口減少に何らかの影響を及ぼすものであろう。

そして生活面でも苦しい状況が続いている。表3は勤労者世帯の1か月あたりの実収入であるが、四国内で最も低く、また全国平均よりも低いという状況である。

また、様々な地域的特徴を持っているにも関わらず、県外の人々の持つ愛媛についてのイメージはみかん、坊ちゃん、道後温泉に集中しがちであり、愛媛の持つ魅力が十分に伝わっているとは思われない。

表3 勤労者世帯の1ヶ月あたりの実収入(千円)
  2000 2005 2008
全国 561.0 522.6 534.2
徳島県 565.6 632.1 526.6
香川県 611.5 567.0 640.0
愛媛県 539.5 497.9 487.9
高知県 552.3 498.1 548.5

出所:社会生活統計指標より作成。

どのような姿を目指し、どのような戦略をとるか

人口減少はその地域の停滞に直結する。そこで人口減少を抑制し、増加へと転じさせる必要がある。そのため基本コンセプトとして「人が集まる地域」としての愛媛を目指す政策を打ち出していく必要がある。出生率の向上、外部からの人口流入、そして地域への定着などが必要となるが、そのためには子育て世代から高齢者までが安心して暮らせる地域づくりが必要となる。

子育て世代のためには子育て支援などの政策と雇用創出とが必要となり、新時代を見据えた環境やメンテナンス事業などの新産業育成や産業構造転換を行ったり、教育を通じた人材育成を行ったりすることが必要となる。また教育を通じて郷土愛を醸成することで人材の定着やUターンを促すことも重要である。

そして、それらの取り組みについてうまく情報発信することでUターンのみならずIターンや外部からの移住へとつなげる活動も重要となる。また、情報発信は定住を狙うものにとどまらず、国際化の中で国内・海外を問わず観光客を取り入れるためにも重要である。とりわけよい自然や食文化など良質な観光資源を保有している愛媛では、観光客にうまく対応することでリピーターを獲得することも可能であろう。

高齢者への手当としては公的年金で十分に暮らせる行政サービス、社会インフラの整備、生活対策や医療供給体制の構築が求められる。その中で、若い世代向けの教育や郷土愛の醸成を通じて地域への医療従事者の定着を図ることが出来れば高齢者向けの政策の効果もより高まると思われる。

このような様々な施策によって人が流入し、また出入りすることで、愛媛が人と人の出会いの場となり、そのことが地域の活性化と少子化対策ともなるのである。むろん、これらの政策は実施する各地域の特徴を十分に鑑み、それぞれの地域において必要な形で提起され、実行されなければならないことは言うまでもない。



人への重点投資と持続可能なグランドデザイン 〜目指す姿と地域主導での実現〜

具体的にどのような施策を採るべきであろうか。これまでの議論から、人への投資を根源的な目標とすべきだが、そのための投資先としては3つ挙げられる。

1つめは人の暮らしの向上に関わる投資である。これは子育て、教育、人材育成、医療、福祉などへの投資である。比較的直接的に人に投資が行われる分野ではあるが、これらの投資は人に影響を及ぼすのみではない。教育や人材育成への投資は産業界への新たな人材供給を可能とし、愛媛の競争力向上に貢献する。また、子育て、教育、医療、福祉の充実はそれらの恩恵に浴する人々の郷土愛を育み、地域社会の活性化へとつながる。例えば県や自治体の名称を冠した奨学金を拡充したり、東京などの家賃の高い地域において、出身者のための安価な寮を提供したりすることが考えられる。

これらは教育を受ける人に郷土愛と地域の代表者としての自覚をもたらし、最終的な地域への還流、定着および地域の代表者としての活躍へとつながっていく。将来医療従事者となる学生に対する支援を強化すれば、医師問題の解決の糸口ともなり、暮らし全体の向上をはかることができるだろう。

2つ目は新産業の創出へ向けた投資である。現在、わが国全体でコンクリートから人へという目標が掲げられているが、そうでなくても従来型の産業構造は大きな転換期を迎えている。新たな時代にむけて、環境産業を筆頭に新機軸を打ち出すことができなければグローバル化の中で取り残されることになりかねない。

むろん既存産業の重要度が低いわけではなく、既存の産業と技術の存在をベースとした上でなければ新技術の開発と育成は難しい。既存の産業インフラをベースに、愛媛で強い競争力を発揮できる新産業の育成を目指すのである。そのために特区を設けるなどの施策が必要となることもある。



環境産業への取り組みは、豊かな自然を持つ愛媛では、その資源を守ることにつながり、生活や観光資源の保持にも役立つ。またこれまで日本は高い経済成長を目標とし、拡張的発展を続けてきたが、高度成長期の建造物の耐用年数の問題などで今後は維持・補修が全国的に注目を浴びると予測されている。それは現在急成長を遂げているアジアでも問題になることだろう。今後市場として重要視されるアジアを意識し、いちはやく環境や維持・補修に関する産業を育成することが出来れば、日本のみならず世界をもリードすることが可能である。そしてそのような新産業を育成、創出することは雇用をもたらし、人材を愛媛に引きつけ定着させる原動力ともなる。

3つめはまちへの投資である。都市インフラや文化、スポーツなどまちの整備は、地域の魅力を向上させ、住民の定着や暮らしの向上などに寄与する。欧米のように建物をリフォームしながら末長く利用する手法の確立などの環境を意識したまちづくりを行うこともまた、ゆたかな地域づくりの手法となる。また、直接的なまちへの投資だけでなく、民間がまちづくりに積極的に関わる可能性や地域密着型の新しい働き方などを検討することも一つの方法として考えられる

今後のまちづくりでは「新しい公共」のあり方としてNPOやNGOとの連携なども検討していく必要があるだろう。あるいはスポーツ選手が農業などを兼業することを地域全体でバックアップし、まちづくりの原動力として利用するなど、地域での新しい働き方を提示することも必要だろう。



そのような新たなまちづくりのあり方を研究することも広くまちへの投資として考えられる。このように様々な施策が考えられるが、まちの整備は観光地としての愛媛の魅力を高め、県外、国外の愛媛のファンを増やすことにもつながる重要な点である。

これらの3つの点への投資を、愛媛の各地域の特徴に応じて独自で行っていくことが重要となる。なぜならば、愛媛は第1次産業から第3次産業まで各地域においてバランス良く配置された地域であり、自然や歴史などの観光資源を持っているが、それらの現存するインフラや資源をもとに何ができるかということについて、国からの指導に依存していては、目まぐるしく変化する現代においてその良さを十分に生かすことが出来ない可能性がある。



国に依存するのではなく各地域で独自に検討を行うこと、すなわち地域主権を目指して活動していく姿勢こそがグローバル化が進み、情報化社会となった現代での発展へとつながるのである。自分たちの地域を改めて理解し直した上で、地域同士で連携を取り、自らの選択をする力を持つことが、遠回りに見えて最も発展への近道となるのである。そしてその自立した愛媛の姿を示すことが、人々を愛媛に引き付ける力となるのである。

むろん、上記で取り上げた諸課題については、現時点では例示したに過ぎない。取り上げきれなかったが重要な課題も多く存在する。具体的な施策を提示するにあたっては、今後各方面との協議や調査を行った後、各分野にフォーカスした提言を行う必要があることは言うまでもない。その点を踏まえた上で、今後のビジョンえひめにおいて各論を掘り下げ提言を行っていく。

以上

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